ケアマネージャー事例紹介~利用者様の気持ち~

コラム

皆さんこんばんは。
居宅介護支援事業所寿のケアマネージャーNです。
4月でケアマネジャー歴5年となりましたが、最近自分も親の介護をするようになり、
利用者様ご家族の気持ちがすごくよくわかるようになりました。
その気づきを事例として今回ご紹介させていただこうと思います。

私がケアマネ1年目の頃担当した利用者様A様になります。
長女様家族と同居する80代女性、認知症あり、介護区分は要支援2です。
週2回通所リハビリを使用していました。長女様は、
介護福祉士とケアマネジャーの資格を保有しており、介護に関しては私よりも知識が豊富でした。
利用者様は、見当識障害が強く、いつが通所の日にちかがわからなくなる事が多く、
「今日はリハビリのお迎えが来る日かしら?」と私の在籍している事業所に
頻回に電話がかかってきていました。長女様にそのことを報告すると、
「玄関ドアにリハビリの有無を確認できるように張り紙をしているのですが…もう一度母に説明します。
電話帳登録をしていたようなので、削除しておきます。
みなさんに迷惑をかけてばかりで申し訳ないです」と、謝罪をしていました。
私は、私がA様の担当ケアマネジャーで、利用者様のスケジュールを把握している人物だと認識していること、
きちんと事業所に電話をかけれたことをほめてもいいと思いますよ、と伝えました。
それでも、長女様はひたすら謝罪していました。その後、電話がかかってくることはなくなりました。
しかし、A様が通所でない日に、直接通所先に行くようになってしまいました。
長女様はかんかんに怒ってしまい、A様を厳しく叱ったようです。
その日から、A様は長女様に対して委縮してしまうようになりました。

私は、A様がいないときに長女様と二人でお話をする機会を設けました。
長女様からは、「仕事柄、いろいろな認知症の方を見てきました。
自立を促すために、自分でやってもらおうと、なるべく手出しをせず自分でやってもらってきました。
最近いろいろなことが出来なくなり、怠けているのかな?と思うこともあります。
周りの方に迷惑をかけることも増え、私もなんというか、気持ちの整理ができません」
と話してくださいました。

長女様が、仕事とA様の介護で疲れていることもあり、
次女さんや三女さんの手を借りることになりました。
A様と長女様の距離が少し離れたことで、お互いが冷静になり、
その後は、二人の関係が修復することができました。

当時の私は、自分の身内での介護経験がないうえに、
ケアマネジャーとしての経験も浅かったため、この事例に対して、
介護のプロでも、介護に悩むものなんだな~とあっさり考えていました。
しかし、今、私も親の介護するようになり、家族としての葛藤を自分も経験するようになりました。
A様の長女様の複雑な心境を理解出来るようになりました。
いつまでも元気でいてほしいと想う気持ちからついつい厳しくなってしましまいます。
厳しい言い方をしてしまい反省してしまうこともよくあります。
逆に、厳しい言い方をしたつもりがないのに、相手に厳しいと思われることもあります。
親の目線で考えると、「私も頑張っているのだから、そんな言い方しなくても…」と思うようです。
思いがすれ違って、どんどんギクシャクしてしまいます。
介護は本当に難しいと実感します。介護の知識があっても、
実の親となるといろいろな感情が生まれてくることが、よくわかりました。

私の場合も、姉が私と親の相談相手になってくれます。
姉に話すことで、気持ちが軽くなったり、自分の悪い点等を指摘してくれます。
思いがすれ違う場合、客観的にアドバイスをくれる人の存在が重要だと思います。
人に話すことで、冷静になれたりします。とにかく、一人で抱え込まないことが大事ですね。
私たちケアマネジャーが、少しでもその立ち位置になれるよう、今後も経験を積んでいきたいと思います。

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