2023年残りわずかとなりました。今年はどんな一年だったでしょうか。
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、様々な面での制限が緩和されました。私たちが関わる介護事業所では、利用者様やスタッフを守るべく感染対策は今も続いています。
私は特定居宅介護支援事業所奏のケアマネとして働いていますがタイトルにあげた在宅介護の限界を考える一年にもなりました。施設入所を選択する、または現時点で検討している利用者様が増えてきたからです。
今回紹介する方は長年担当してきて、歩行器で歩いていた方が車椅子に、寝たきり状態にと身体的な変化やまた認知症の進行もあり、介護されているご家族の負担が年々大きくなって、ご家族は迷いながらも施設入所を考えます 高齢のご夫婦2人暮らしで、要介護3の妻を夫が介護しているご夫婦がいました。その中でご主人様は家事や介護も全て担い、それでも趣味の畑を楽しんでいました。奥様はデイサービスやショートステイ、訪問診療と訪問看護を利用しながら何とかご夫婦の生活を継続できていました。 ご主人様の認知症状物忘れが出てきて、デイサービスの送迎時間の把握ができなくなったり、買い物に行けば時間がかかり、帰ってきてからは疲れて寝てしまうなど、少しずつ奥様の介護が難しくなってきました 娘様や息子様は、お父様の負担を考えて、ご夫婦で入所またはお母様のみの入所を考えます。 2人を引き離すのは可哀想だけど、自由気ままに買い物行ったり畑で野菜を作る、お父様を入所させてしまうのも…とかなり迷われていました。 結果、お母様のみ入所となりました。 一人暮らしとなったご主人様も介護サービスを利用し始めて、訪問診療と訪問看護、ヘルパーが入りました。認知症はさらに進行して、遠くまで何時間も歩いて帰れなくなる、夜暗くなってもお店に行こうとしてしまうことがあり、GPSを使用し娘様が探して自宅に送る日々が増えて、奥様から半年後ご主人様も入所となりました お母様が入所するときにご両親一緒に入所した方がよかったのか、この半年大変な思いをした娘様に聞きました。 「あの時点で父を入所させ、自由を奪い認知症がどんどん進行してしまったら後悔していたと思うし、今は徘徊が始まり事故などのリスクが高まってしまったので、このタイミングなったことで覚悟ができた」という話でした。 ケアマネとしては、在宅介護が継続できるように介護サービスを調整する役割なので、出来るだけ長く自宅で過ごしてもらいたいと考えています。
それぞれのご自宅の環境や介護者の状況、利用者様の状態変化により在宅介護の終了を一緒に考えていくことも必要です。 在宅介護の平均期間は「2021年度生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター)によると5年1ヶ月となっています。 現在介護されているご家族は、もう限界と感じたり、日によってはまだやっていけると思ったり、揺れ動いています。 家族を大切に思っているから、こうなったら施設入所と簡単には決められないのです。 ご自身の気持ちと向き合いながら、懸命に介護されているご家族や利用者様の思いや選択をこれからも大切にしていきたいと思います。