母との絆

コラム

こんにちは。
居宅介護支援事業所 寿のケアマネージャKです。
2回目のコラムとなります。よろしくお願いします。

今回のコラムでは、寿で一緒に働いている
女性ケアマネジャーの
Aさんを紹介させて頂きたいと思います。

Aさんとは仕事でもプライベートでもとても
仲良くさせてもらっています。
ケアマネジャーとしては私の方が
少しだけ先輩ですが、人生経験に
おいてはAさんが先輩となります。
Aさんはケアマネジャーとして
介護業界で働く一方、一人で
母親の介護をされています。
ぜひその事を伝えたいと思ったのが、
今回コラムでAさんを紹介させて
いただく一番の理由です。

Aさんは、99歳のお母さんと
2人で暮らしています。
お母さんは認知症を患っており、
残念なことにAさんの事を
娘として認識することも
出来なくなっています。

親が子供の事を忘れてしまう。
子供としてこれほどショックで
悲しいことはないと思います。
自分自身に置き換えて想像するだけでも
心が苦しくなってきます。
それでもAさんは、自分の顔や名前が
分からなくなったとしても、お母さんのことを
本当に大切にされています。

ケアマネジャーという仕事は
外出する機会も多いです。
99歳という高齢でかつ
認知症を抱えているお母さんを
一人で家に残すことはさすがにできないので、
平日はグループ法人の
「お泊りデイサービスプエンテ」
というデイサービスで
お泊りをしています。
そして週末は自宅でAさんが
介護をするという生活を送っています。

平日の月曜から金曜までは
ケアマネジャーとして働き、
週末の土曜と日曜は
お母さんの介護をするという、
傍から見たら「心も体も休む時ないのでは?」
というような生活を送っています。

それでもAさんは辛そうな
表情を見せることなく、
また弱音を吐くこともなく、
むしろお母さんの
介護が活力となっているかのように明るく
元気に仕事をしています。

実はAさんのお母さんは、
ここ最近まで特別養護老人ホームで
約4年間の入居生活をしていました。

特別養護老人ホームでの生活の中で、
認知症の症状も進行し、
また体力や筋力は低下してしまい、
一人で歩けば転んでしまうという状態でした。
認知症の症状が進むと一人で歩くと
転んでしまうという自身のリスクも
分からなくなってしまう事があります。
違う認知症を持つ方の話ですが、
足を骨折しているのに、骨折している
ことを忘れて立ち上がってしまい、
また転んで骨折してしまうという
こともありました。

そんな入居生活を送っているなか、
ある日Aさんのお母さんは
特別養護老人ホームの自室で
転んでしまいます。
高齢で受け身も取れず顔は
アザだらけになりました。
病院に受診し一日だけ
入院させてもらい、
翌日には施設に戻ってきましたが、
施設に戻った翌日の朝に
また転倒しました。
今度は車いすから前のめりに
落ちてしまい、また顔を床に
打ち付けてしまうという
痛々しい事故でした。

Aさんは悩んだ末、ある決心をしました。
特別養護老人ホームから退去させ、
また在宅介護をするという決心を。
この決心はなかなか出来るものでは
ないと思います。
もともと在宅介護が難しくなり
特別養護老人ホームの入居を決心したのに、
そこから数年が経過し、さらに介護が
難しくなった状態のお母さんを
在宅に戻してまた介護を
するというのは本当に覚悟が
いると思います。
そしてAさんはその覚悟を決めたのです。
そうした経緯があって、現在のAさんと
お母さんの今の2人での生活があります。

お母さんは、Aさんを自分の娘と
認識できなくなっていると先に書きました。
週末にお泊りデイサービスから家に帰ってきても、
どこに連れて来られたのか分かりません。
Aさんの顔を見ても自分の娘だと分かりません。
それでもAさんの顔を見て安心するのでしょう、
自宅に戻り少し落ち着いた頃に
「ずっとここに居たいわ」と、
お母さんはAさんに伝えるのです。

Aさんの生きるモチベーションはお母さんであり、
お母さんにとっての心の拠りどころはAさんであり、
そうした親子としての関係性が築かれてます。
そんな素敵な関係性が少しでも
長く続いてほしいと心から思います。
そして今の生活が少しでも長く継続で
きるように微力ながら
お手伝いできればと思います。

そして、私もいつか自分の母親を
介護する時には、Aさんを見習い、
母親に優しく接することができるように
なりたいです。
今は顔を合わせればケンカばかりですが
(苦笑)

Aさん、お母さん、いつまでも
仲の良い親子でいてください。
そして百寿のお祝いの時も
呼んでくださいね。
また一緒にお祝いさせてください。

拙い文章を呼んでいただき、
ありがとうございました。

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